民725条(親族の範囲)
民726条(親等の計算)


民725条(親族の範囲)
左に掲げる者は、これを親族とする。
 一 六親等内の血族
 二 配偶者
 三 三親等内の姻族

民726条(親等の計算)
@親等は、親族間の世数を数えて、これを定める。
A傍系親族の親等を定めるには、その一人又はその配偶者から同一の始祖にさかのぼり、
その始祖から他の一人に下るまでの世数による。


 親等とは、具体的に見ていくと、自分から見て、
父母は1親等 (本人 → 父母@)
祖父母は2親等 (本人 → 父母@ → 祖父母A)
兄弟姉妹は2親等 (本人 → 父母@ → 兄弟姉妹A)
叔父叔母(おじ・おば)は3親等 (本人 → 父母@ → 祖父母A → 叔父叔母B)
甥姪(おい・めい)は3親等 (本人 → 父母@ → 兄弟姉妹A → 甥姪B)
従兄弟(いとこ)は4親等 (本人 → 父母@ → 祖父母A → 叔父叔母B → 従兄弟C)
子は1親等 (本人 → 子@)
孫は2親等 (本人 → 子@ → 孫A)
になります。

 配偶者とは、「夫からみた妻」「妻からみた夫」のことで、婚姻によって生じます。内縁関係では、お互いは法律上の配偶者にはあたりません。なお、自分の配偶者に親等はありません。

 姻族間の親等は、夫婦を一体として計算します。配偶者の父母は姻族1親等、配偶者の兄弟姉妹は姻族2親等になります。

「血族」と「姻族」
 血族とは、出生による血のつながりのある血族(自然血族)と、法律(養子縁組など)によって生じる血族(法定血族)とがあります。

 姻族とは、婚姻によって生じる関係です。考え方としては、「自分の配偶者の血族」と「自分の血族の配偶者」に分けて考えるとわかりやすです。具体的に、3親等内の姻族とは、

「自分の配偶者の血族」側

  1. 配偶者の父母は1親等内の姻族
  2. 配偶者の祖父母は2親等内の姻族
  3. 配偶者の曾祖父母は3親等内の姻族
  4. 配偶者の叔父叔母は3親等内の姻族
  5. 配偶者の兄弟姉妹は2親等内の姻族
  6. 配偶者の甥姪は3親等内の姻族
  7. 配偶者の連れ子は1親等内の姻族
      (奥さんが子持ちで再婚した場合など、夫からみれば奥さんの連れ子は1親等内の姻族です。ただし、奥さんの連れ子と夫が養子縁組をすれば1親等内の血族になります。また、同じように、先妻の子からみて後妻は1親等内の姻族)
  8. 配偶者の連れ子の子は2親等内の姻族
  9. 配偶者の連れ子の子の子は3親等内の姻族


「自分の血族の配偶者」側

  1. 自分の子の配偶者は1親等内の姻族
  2. 自分の孫の配偶者は2親等内の姻族
  3. 自分の曾孫の配偶者は3親等内の姻族
  4. 自分の叔父叔母の配偶者は3親等内の姻族
  5. 自分の兄弟姉妹の配偶者は2親等内の姻族
  6. 自分の甥姪の配偶者は3親等内の姻族
  7. (自分の従兄弟の配偶者は4親等内の姻族ですが、4親等なので親族にはなりません。)

注意すべき点は、
 自分の親と、配偶者の親とは姻族ではない。
 自分の配偶者と、自分の兄弟の配偶者とは姻族ではない。
 自分と、自分の配偶者の血族の配偶者とは姻族ではない。

関連知識として、「直系」「傍系」「尊属」「卑属」という言葉がでてきます。
 直系とは、祖先から子孫へとつながる縦の関係で、例えば、本人と祖父母、本人と孫、祖父母と孫は直系の関係になります。
 傍系とは、直系以外のつながりが傍系になりますが、例えば、自分と叔父叔母、自分と甥姪の関係は傍系になります。
また、「直系」「傍系」については、自分の血族側(直系血族、傍系血族)だけでなく、夫婦を一体として考えれば、配偶者の血族側(直系姻族、傍系姻族)についても考えることが可能です。(傍系姻族については条文上はでてきませんが!)

 尊属とは、自分の父母の世代以上の世代(父母、祖父母、叔父叔母など)
 卑属とは、自分の子の世代以下の世代(子、孫、甥姪など)
兄弟姉妹間、自分と従兄弟といった同一世代の横のつながりには、尊属・卑属の区別はありません。
また、姻族に対しては尊属・卑属の区別はありません。

民法では、「直系」「傍系」と「尊属」「卑属」「血族」「姻族」を組み合わせた言葉が出てきます。(一部条文上はでてこない言葉がありますが、わかりやすいように列記した。)例えば、
 「直系尊属」
 「直系卑属」
 「傍系尊属」
 「傍系卑属」
 「直系血族」
 「傍系血族」
 「直系姻族」:自分からみて、配偶者の父母・祖父母など、配偶者の連れ子・連れ子の子など(自分と養子縁組をしていない)
 「傍系姻族」:自分からみて、配偶者の兄弟姉妹・叔父叔母・甥姪など
という言葉の使い方をします。(なお、姻族には尊属・卑属の区別はありません。)

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